木漆の北原進です。
来月開催の東京都美術館での展覧会 「月火水木金土日ー想いを繋ぐー」 にて、企画展示室に展示予定の " 合鹿椀 " の制作工程をご紹介します。
今年2月号のLEE別冊付録『伊藤まさこさん「スタイルBOOK」』(集英社)に、" 北原進さんの合鹿椀 " としてご紹介いただいたお椀です。
左から順に、木取り→粗取り→仕上がり木地→布着せ→サビ摺り→黒中塗り になります。
さらに会期中は朱色に仕上げた完成作品もならびます。
こうして横1列に並べてみると、サクッと簡単に作っているように思われるかもしれませんが、完成までには時間的にも手間的にもたくさんの工程を経ています。
まず木取りをした後、木を少なくとも4年は乾燥させます。
そしてろくろで木地の仕事を終えたあと、20工程を超える漆工の工程を経て完成作品となります。
すべての工程を自分の手で行っているため、完成までに1ヶ月ほどかかります。
そしてこれらの工程からは見えないデザインの部分でも、自分の納得のいく "かたち" にたどり着くまでには妥協せず、何度でも試作を繰り返すのです。
木、漆、螺鈿の貝、麻布、錆土など、わたしの作る漆器はすべて自然の恵みからできています。
塗った漆を乾かすのもまた自然の力。湿度・温度によって乾く時間や仕上がりの色まで変わってきます。
木と向き合い、漆と向き合うという自然とのコミュニケーションのなかから作品が "かたち" を現した時、それを生み出すわたしという存在もまた自然の一部であることを気づかされるのです。
木地から塗りまですべての工程を自分ひとりの手で行うからこそ気づくこと、感じることがある・・・そんな気がするのです。
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