2014年12月27日土曜日

「いろに想う」を終えて・・小島秀子

 「いろに想う」

今回で「月火水木金土日」の都美術館での企画展示は3年目、3回目となりました。展示まで1年半をかけてメンバーで企画を考え 話し合ってきました。
今回のテーマは工芸の「いろ」。メンバーの作品を通して「工芸のいろ」を感じ取っていただけたでしょうか。工芸のいろは素材を伴った色です。私達は今回の企画を機に、自分の作品やメンバーの作品を通して「いろ」と向き合う事で、素材とも向き合って来たとも言えます。
来年は月火水木金土日の企画展示はお休みいたしますが、また新たな企画を皆さんにお観せできるよう、メンバー一同それぞれのシーンで素材の声に耳を傾け、真摯に作品と向き合って行きたいと思います。

ご来場下さった皆様、応援下さった皆様、本当にありがとうございました。

 

私の展示風景をご紹介致します



「私は透明な色の重なりが好きです。織物の色の見え方は並置混色で、経糸と緯糸が交差して出来る小さな点で構成されています。この色の混ざり方が「透明な色の重なり」になります。この並置混色ではただ単に絵の具を塗るのとは違った、色が見えて来ます。織っている時に経糸と緯糸の重なり合った色が見えてくると本当にワクワクします。また素材によって色の見え方が違ってきます。織り物はその素材から自分で作ったり選ぶことができます。使い道から素材を選ぶ事もありますが、色の見え方から素材を選ぶ事もあります。また素材自体の色を使う事もあります。基本的に織物の色の表現は染料です。染料で煮染めする事によって素材の中から染まって行きます。そのため織物の色には深みがあるように思います。また染料によっても発色が違うのでその時のイメージにあった染料を選びます。透明感のある染料、金属を含んだ重みのある染料、色の深みがある天然染料など。制作をして行く上で色の響き合いを決めて行く作業が一番大好きです。今回の展示では、モノトーンを基調とした作品と、同じデザインで私の一番好きな碧緑色を基調とした作品を制作、並べて展示してあります。同じデザインでも、色の違いでの味わいをお楽しみいただけたらと思っています。」

  

今回の展示で私の好きだった風景です。まるで私の帯が雲、その上を雪ノ浦さんの天使が飛んでいているよう



出品作品の紹介です

色の違いによる表情の違いを 楽しめるように、同じデザインでグレートーンの作品とグリーントーンの作品を並べて展示致しました。

作品 「 いろ 」
明か時
新しい朝がやってきて
光の川
光の森
暮れて
碧い光
小花草
白丁花



私の小品の紹介です・・色名が書かれています
黄11 ・ Yellow G +α
黄6・植物染(刈安・渋木・ゲレップ)
青9・ Blue G+Yellow
青5・ Blue BD+α  
赤8 ・植物染(コチニール・茜・渋木・ゲレッブ)
赤9 ・Red BD+Yellow+渋木+α  
茶14・ 植物染(渋木鉄媒染)
茶8・ 柿渋






2014年12月26日金曜日

いろに想う 泉さやか

「いろに想う」展無事終了いたしました
ご来場いただきました皆さまに御礼申し上げます

この展覧会のために制作したのは
前回の「想い、巡る。」からイメージが繋がった

steadily and silently2014

というタイトルの作品でした

しんしんと音もなく落ちてくる白い雪と
その雪が降り積もり 厚く固まった時に見せてくれる美しい青を 器形に込めました
内側にも外側にもうっすらと水玉の文様が見えます








陶芸の中では 青白磁(薄い水色)も 淡黄磁(淡い黄色)も「白」の分類に入りますので
色で作品を語るのはなかなか難しかったですが
カラーテーブルという企画展示の中では
自分で思うポジションと違う場所に置かれたり
やきものの色というくくりの中で 少し凝り固まっていた感覚をよい意味でほぐされたような気がしています


ありがとうございました


2014年12月25日木曜日

「いろに想う。」本展を終えて

陶磁の佐藤です
都美術館での「いろに想う。」展
本当に沢山の方に来場していただき嬉しく思います。
いろ。当初は有色を意識し作風を変える事も考えましたが、白(光)から黒(影)への移り変わりも「いろ」だと気付き少し気が楽になり
普段通りの作品が発表できました。
左:縒舟 (高台部分を舟形に削り込み、高台からの立ち上がりにより視覚による重さへの解決方法を提示したかった)
右:縒器(周りを包む空気。縒舟からの展開として高台部分を強調、口縁への繋がりの美しさを意識した)
意識の中でまた1つ発見することができた展示会となったと思っております。
本展を通して、自分、作品への発見。これこそが月火水木金土日への参加ををしている理由、意義であり、またそれを鑑賞者の皆様に観ていただき充実した期間でした。
ますます 大きく羽ばたき 心に残る作品を作っていけるよう努力してまいります。
これからも応援よろしくお願いいたします。
本当にありがとうございました。

2014年12月24日水曜日

展覧会を終えて

陶芸の前沢幸恵です。

この度の「いろに想う」展には、沢山の方にご来場を頂き、また様々なご意見を賜り、誠にありがとうございました。



展覧会テーマ、「いろ」。正直、とても迷いました。普段、私は緑単色のいろが多いもので、バリエーションを増やすという事が自らの制作スタイルではそれまで難しく、土を変え、焼き方を変え、楽焼など、色々試した結果、展示させて頂いたように、同じ制作スタイルでも赤、薄黄緑、黒、青、など新たないろを発見する事が出来ました。






この展示を通して、また自分の中でのいろを発見出来た事を嬉しく思っています。



また、同年代とともに、年上の世代の方と展示を一緒に参加させて頂いて、様々な刺激と、ご意見を頂き、普段では得られない事を勉強させて頂きました。
またデザイナーさんのディレクションのもと、普段は作る事に意識が集中しがちですが、見せる事の大切さを改めて実感した展示となりました。

この展覧会で得られた事を成長の糧とし、より作品を自らの理想へ近づける様に奮闘し、またこの月火水木金土日で展示させて頂けたらと思います。


この度はお越し頂いた皆様、本当にありがとうございました。

2014年12月23日火曜日

展覧会を終えて。

こんにちは木工の薗部です。

「いろに想う。」展が大変盛会のうちに終了いたしました。ご高覧下さいました皆様、大変ありがとうございました。連日のご感想、ご意見も賜りまして誠に感謝いたしております。
今回の展示テーマは、共木(ともぎ)の木工をやる身といたしましては、いささか考えなければならない内容でした。木工の世界では方向性として幾つかの色彩を扱う木画や象嵌の仕事と、単一素材のみで仕事をしてゆく共木の仕事があります。僕は後者にあたります。

確かに「いろ」とは、とあるグループの中の個人の特色とも捉えられます。でも、私自身の問題として、ここは今まで考えてもいなかった色のことについてじっくり考えるいい機会だなとおもったのです。その内容はこれまでのブログに書かれています。右の欄の名前が並んでいるやや下の方の薗部の名前を選択していただけると、過去のブログが表示されて遡って読み易いです。
「木製ショウケース2014」これが今回の作品タイトルです。材料はブラックウォルナット(西洋クルミ)この色は美術館の外壁の色のイメージとどこか似ています。したがって、ショウケースは色彩の印象を美術館のそれに宿命の様に奪われてゆきます。そして置かれた箱はガラスの板とともに床の色に消えるかのようです。





私は前年の展示のときも作品について説明しましたが、今回も美術館と相似の関係を持つショウケースの構造について、あるいはその内容を考えるテーマを掲げました。それは、中と外の空間があり、あるいは境界があります。ディテールに言葉があり、それを享受する空間の容積があります。それらを受けとり、また聞き漏らさない様にする事が今回の私の仕事でした。

この展示で私がしたことは、既にあるウォルナットのいろを受け取りながら形と空間の意味を浮かびあがらせることになっていったのでした。




いかがですか、いろを扱っていながらそこを観ていただいている方々の意識を通過させ、空間性や形に感覚を向けてけるような仕事ははたしてできたのでしょうか。

今回ご覧になった方々、どうもありがとうございました。また、都合が付かずに気になさって下さった方々、どうもありがとうございました。このブログを読んで下さった方々どうもありがとうございました。
今は私は展示を終えてまた同じような場所に帰ってきたのですが、展示を終えてみると、少し違っていましてなぜか、自分の奥底から湧き上がるある感情があります。とても良い感覚なので、いろいろと感謝したくなるのです。
今回の制作と考えてきた事を糧としまして、また次回の制作につながるように日々精進したく思います。どうもありがとうございました。

薗部秀徳





2014年12月22日月曜日

展覧会を終えて 長谷川大祐

 展覧会にご来場くださった皆様、ありがとうございました。
金工の長谷川です。
「いろ」をテーマにしたグループ展。

思い返せば、これまで「いろ」を前提に考えて作品制作したことなんてありませんでした。
んー、どうしようか、、どんな作品を生み出そうか悩んでいました。

その一方で、そろそろ次作品あたりで総括的なことをしてみたいなと感じていた時でもありました。これまで私は日本の風景を作品テーマとして、旅行先や日常で出会った風景からアイデアを頂いていました。例として「奈良県明日香村の田園」「尾道から眺めるしまなみ」「京都醍醐寺の桜」です。


初めの頃は風景の瞬間のみに視点を定めていました。同じ場所でも季節ごとで見えるものが違うのは当然なんですけれども、桜をテーマに作品を作ったときに改めてそのことに気が付きました。
いま見てる風景は季節、天候、時刻、いろんな組み合わせの上で成り立っているんだなぁと再認識しました。
その時から作品に「+時間軸」を取り入れるようになります。

話がやっと元に戻りますが、ちょうど「いろ」をテーマに日本の風景を総括的に表せるもので思い浮かんだものが、日本の季節「24節気 」だったんです。これまで見てきた季節ごとの風景を一年24節気24作品24色作ることで、日本全体を表現できるのではないかと思い制作を決めました。



以下、各作品の説明です。


立春 雪の間からフキノトウが出てくる。

雨水 雪をとかす雨がふる。

啓蟄 土の中から虫達が動き出す。

春分 さくらもち

清明 緑が芽生えるころ。

穀雨 穀物を潤す雨が降る。

立夏 田に水を張るころ。

小満 水を張った田に月が映る。

芒種 田植えの時期。

夏至 氷の節句。水無月。

小暑 蓮の葉がひらくころ。

大暑 夜空に花火。

立秋 もも

処暑 いちじく

白露 なす

秋分 さといも

寒露 かき

霜降 どんぐり

立冬 水に氷が張りだす。

小雪 りんご

大雪 雪吊りをするころ。

冬至 鏡もち

小寒 狂い咲き

大寒 一面雪景色。