2013年6月5日水曜日

漆器産地としてのとりくみ



わたしが生まれ育った木曾平沢という町は、漆器産業を生業とする人々が集住する全国でも珍しい地域です。

伝統的な町並みの風情を今なお色濃くとどめ、漆工という伝統工芸の職人町としては日本で唯一「国の重要伝統的建造物群保存地区」にも選定されています。

全国にある漆器産地の多くは大名などの庇護の下に発展してきましたが、中山道沿いに位置する木曽漆器は一般市民が使う生活用具としての漆器を作って発展してきました。

しかし、日本の伝統工芸品としての漆器産業の規模は、生活様式の急激な洋風化にともない1991年頃をピークに縮小しています。

この地域の漆器産業も例外ではなく、わたしが25歳くらいの頃をピークに縮小してきているのを肌で感じています。

そのような状況のなかで、日々の生活のなかでごく自然に漆器に親しんでいって欲しいという願いを込めて、この地域の小中学校では漆器の給食セットを毎日使うというとりくみがなされています。

自然の恵みである木と漆。漆器産業は21世紀の循環型経済社会の実現を目指すなかで、その主旨を体現する産業であるとわたしは信じています。

漆器店、職人、そして作家として自らの表現を追求する者。日々、それぞれの方向性で頑張っているみんなが一丸となって産地をもり立てようとするとりくみのひとつに、今年で第46回をむかえる漆器祭があります。

ちょうどわたしが生まれた頃に始まった祭りで、今年の日程は6月7日(金)・8日(土)・9日(日)。

わたしも町通りの親戚の家を借りて、日々の器から茶道具に厨子、そして家具などさまざまな作品を展示し、みなさんに “ぬりもの” の素晴らしさを知っていただけるよう努めたいと思っています。






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