2012年3月17日土曜日

筬(おさ)

染織の小島秀子です。




これは筬といいます。
織物を織る時に、経糸(たていと)の密度を保つ為と、織り込む(打ち込む)為に使います。織物の密度に合わせて私は8羽(はちは)から、60羽(ろくじゅっぱ)まで持っています。
私の使っている織物の道具は全て鯨尺で作られていまして、この筬の数字は1寸の間に何羽あるかで表示されています。ちなみに1寸は約3、77㎝です。
一番細かい60羽は、3、77㎝に60の隙間があります。
普通はこの筬目の中に2本づつ、経糸を通します。
私の場合、絹の着物で50羽から60羽を使います。50羽の筬を使った時は1寸に100本の経糸が通る訳です。着物の幅は1尺5分くらいなので、経糸は全部で1050本になります。筬は竹で出来ていますが、現在日本では筬を竹で作る職人さんがいなくなってしまい、ステンレスで作られています。ステンレスだと、重くて、作業の時にいろいろ具合が悪いことがあったり、絹糸に負担がかかったりします。そして織る時のカーンカーンと、軽くて乾いた気持ちのいい音や感触はなんと言っても竹が一番です。糸を通す時も、ステンレスだと光って眼が疲れます。私の竹筬は30年前くらいに買った物です。新しく買うとステンレスになってしまいます。京都に竹筬保存研究会と言う物も出来て復興に勤めてくれています。そこで、修理はしてくれるようになったので、まめに修理に出して大事に使っています。


一番粗い8羽、ステンレス製

 
一番細かい60羽、30年使っています


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