2013年6月11日火曜日

ものがたり


こんにちは ガラスの蔦嶋 薫です。


今回は作品アイデアのおおもとについて、お話したいと思います。

自己紹介の際にも少し触れましたが、私は作品で様々な物語の一片を表現したいと考えています。
現実からちょっと離れた、空想の世界の物語。彼岸。そういったものに魅かれます。
もともと小説を読むのがとても好きで、特に幻想小説やSFの影響を受けてきました。


国内・海外問わず気になった小説を読んでいます


普段の生活の中でも、何か空想の世界に通ずると思えるものを探しては写真に撮ったりしています。
被写体は扉、階段、螺旋階段が多いです。










たとえば、空間を隔てる扉はこことは違う場所に繋がっていそう、ですとか
螺旋階段における回転と上昇のかたちは儀式的で特殊な感じだな、などとつらつら考えています。




最後に、稲垣足穂の小説で私がとても好きな「薄板説」のおはなしを抜粋します。



「現実世界の時計の針が刻む秒と秒のあいだに、或る不思議な黒板が挟まっている。そのものはたいそう薄い。肉眼では認めることができない。(中略)ーー吾吾が道を歩いている時、飾窓や音楽や、人や、自然物に気をひかれてひょいと首をまげさせられる。これは、実は、春の野辺に立つ糸遊のごとくに、デリケートな薄板がそれらの物象を借りての誘惑なのである。(中略)吾吾の視線が適当な角度に合致したならば、吾々はその音楽なり花なりを媒介として、はても知られぬ美の王国へはいることを許されるはずである」

                           ーーー 稲垣足穂『童話の天文学者』より





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