2013年8月14日水曜日

色に託して

こんにちは
染色作家の桂川美帆です。
前回は言葉とイメージについて触れましたが、
今回は色とイメージについてお話したいと思います。


この写真は、昨年の夏に岐阜の祖母の家に遊びにいった時に撮ったものです。


青々と生い茂った緑の中で咲く花の姿と紋白蝶が印象的で、いつか作品にしたいと思っていました。
この日は眩しい日差しが照りつけている夏の日でした。
夜中に降った雨がまだ少し、緑の中にきらきらと輝きを残していて
山からの風がそよそよとやってくる中を、蝶が楽しそうにあちこちで遊んでいるようすでした。

写真よりも、もう少し初夏の爽やかな空気感も加えて、光が差し込んで露の輝く草むらのような景色を表現したいなと考えていて、、、



↑これが原案の絵です。
少し甘い雰囲気になってしまったので、
これはこれで気に入っていたのですが
キリッとした夏の感じを出したいと思い
ここからまた修正して、、、



染めている最中です。





染め上がった写真です。
原案の絵の段階よりもずっと最初のイメージに近づける事ができました。


日常の他愛もない景色、
けれど、その見ている景色は
その瞬間の温度や湿度、風の向き、匂い、光、音、
そして、その瞬間の感情も含んで
いつでも、それぞれの人の、特別な景色となり得るのではないでしょうか。
私の見た景色、
私の感じた想い、
私は「色彩」に託してゆきたいのです。


普段、沢山の「色」を使っていますが、意外にも好きな色を問われると悩んでしまいます。
特別一つの単色にこだわりがあるというよりは、
色彩の組み合わせと、それによって表現できるイメージを大切にして作品をつくっています。

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