2014年5月25日日曜日

素材のいろについて 陶磁 前沢幸恵


私の制作の中において考える”いろ”というものは、絵の具のような顔料の色では無く、すなわちその素材から引き出された素材そのままの”いろ”です。
陶芸の、陶土と焼成とがかけあわされた時に生じる、素材自体の強烈な”いろ”に私は惹かれています。

私の作品は、色味を主に大きく分類すると、「白」と「緑」になります。

白は粉引で出す白。
粉引とは赤土の胎土に白い化粧土を上に塗って、還元焔焼成により下の赤土の鉄分と上の化粧土が混ざり合い、複雑な「白」を生み出すものです。
 白とは一口に言っても赤い白だったり、黄色い白だったり、寒色の白だったり、赤土と白化粧の配合、還元焔のかけ具合により「白」の色味は無限に変化していくところの面白さがあります。

また、緑はいわゆる抜けタンパンによるものです。抜けタンパンとは焼成により金属の蒸気が器体を通過し裏側に抜けることをいいます。器体をも通過してしまう焼成の大きな力に、面白さを感じています。


どちらの技法も、単純な「白」と「緑」から、焼成により、複雑な表情としての”いろ”に変化をしてくれます。
自分の作るカタチに、焼き上がりを想像してそれに色を施して。期待して焼成して裏切られて、時には予想外の表情になったりして。
それを苦しみながら楽しみながら制作していきたいと思っています。


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